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「春のめざめ」

 

志尊淳主演舞台、「春のめざめ」大千秋楽に行ってきました。たぶん一瞬で忘れてしまうんだろうなぁと思ったのでざっくり感想を。

 

「春のめざめ」とは、100年以上前に書かれた戯曲「春のめざめ」を原作としたいわゆるストリートプレイ。劇団四季とか、結構ミュージカル化もされていて、海外では若手俳優の登竜門的舞台、として位置づけられているらしい。

 

舞台はドイツ。14歳くらいの子達、の設定のはず。みちえだくんか。みちえだくんかぁ。めちゃくちゃ閉ざされた学校のなかで、少年少女たちは思春期特有の悩みに翻弄されていく的な。「なにが楽しくて俺ら生きてるんだろうな」的な。そして性に目覚めていく的なそんな時期の子たち。とにかくめちゃくちゃ閉ざされた世界にいる。

 

しそんが演じるメルヒオールはすごく頭がいいので、性についてもすでにわかっている。自分はなんでも知っている。たぶんそう思ってるし、自分は子供じゃないと思ってる。そんなメルヒオールの親友モーリッツはメルヒオールとは反対に頭がよくない。進級も危うい。性についても最近目覚めたところで、知りたいけど恥ずかしい。 

 

このモーリッツ、自殺する。拳銃で。進級できずどこにもいけず、自分の人生に絶望してもうどうしようもなくなって自殺してしまう。

 

モーリッツの「自殺病」について教師たちが会議を開く。モーリッツが自殺した原因に、メルヒオールがモーリッツのために書いた性についての文書(子供のつくりかたやね)があると大人たちは疑わない。ここに出てくる大人たち、こどもがそういうことについて知ること、興味を持つことをめちゃくちゃ汚らわしいことだとおもってる。メルヒオールは呼び出されて責められる。「どうしていけないんですかだって…」「はいかいいえで答えろと言ってるんだ!」て感じや。苦しいなめちゃくちゃ大人きもいなぁ。

 

メルヒオールは学校にいられなくなり、感化院にいれられる。はじめは、メルヒオールはなにもわるいことをしていないと言っていた母親。結局感化院にいれないといけないわってなる。

 

その原因。ベントラという女友達にメルヒオールが強姦してしまうそして妊娠させてしまうんや…なんちゅうこっちゃ。メルヒオールが自慰してるときにきてまうベントラ…つらい…。このベントラ、めちゃくちゃかわいい。めちゃくちゃ純粋でめちゃくちゃかわいい。事件が起きる前、ベントラは母親に、どうしてこどもができるのか聞くんだけど、母親ははぐらかして、結局ベントラはわかんないままで。知ってたらこうはならなかったのかもしれない。ベントラとメルヒオールが川辺で話すところがあるんだけどめちゃくちゃ青春で、このふたりがくっついて終わるんだろうな~って思ってたからほんとつらかった。この川辺のシーンのときに、ベントラが、わたしはいままでひとにぶたれたことがないから、叩いて!ってメルヒオールに言うんだけど、最初は軽く叩いたメルヒオールに、もっとちゃんと叩いてよ!ってベントラが言うんすわ。スカート捲って太ももを差し出す。そしたらメルヒオールが狂ったように叩きだすっていうのがあって…。たぶんこのときにメルヒオールのなかでなんがしかが外れて。このあとに強姦事件があるんだけど。

 

結局ベントラは、母親に無理矢理中絶させられようとして堕胎剤のせいで死んでしまう。ここがいちばんきつかった。大人きもいなぁ。

 

メルヒオールが送られた感化院はこれまためちゃくちゃ過酷なところなんだけど、やっぱりベントラが気になって仕方がないメルヒオールは、脱出をこころみる。ゆーたら脱獄。脱獄系はしんどい。逃げに逃げて、ついたところにはお墓が。それはベントラのもので。そこでメルヒオールは、ベントラが死んだことを知る。俺のせいだ俺のせいだって。まぁもちろん死にたくなる。そしたらモーリッツの霊が、メルヒオールを連れていこうとするし、メルヒオールもそっちにいこうとしちゃう。そこに謎の紳士があらわれる。謎の紳士、誰。「お前は誰だ!」(圧倒的それな)謎の紳士、最後までだれかわからん。でも謎の紳士のおかげでメルヒオール、生きようって思う。よかった。

 

ここで舞台はおわる。

 

 

すごい舞台だった。セットは一枚の透明なガラスだけ。鏡にでもなるし塀にもなるし墓にもなる。演者は捌けない。客席の通路、階段にいるか、舞台のはしっこにいるか、上にいる。ストリートプレイのあの感じってなんなんだろう。ミュージカルよりよっぽど重いな。音が多いわけじゃないのに圧倒される。どっちも好きだけど、せっかく俳優やるならストリートプレイがいいなって思った。

 

話の内容、めちゃくちゃ苦しかったけど、全然共感はできなかったので他人事だったかもしれない。「なにが楽しくて生きてるのかな」とか、死にたいとか、わたし10歳くらいがそういうのピークで、そのあと全く思わなくなったから、ほんとにそういうのがわからない。ただ、もっと広い世界を彼らが知っていたら、こんなことにはならなかった。それだけはわかる。少年たちと重なる部分がわりとあって、女の子いれたバージョンの少年たちってこんな感じなのかもしれない。わたしの人生に必要な作品ではなかったかもしれないけど、ほんとうに観にきてよかったっておもったし、5000円、安い。すまんなこんな値段でこんな素晴らしいものを。ありがとう。

 

しそんそんがほんとうにかっこよかった。本題はこれやな。めちゃくちゃ芝居が上手いです!!!うまいですねぇほんと!!!て感じじゃなくて、でもとにかくメルヒオールがぴったりで、てかメルヒオールにしか見えなくて。志尊くんって憑依型…とはちがうかなと思うけど、その役にしか見えなくなるタイプのひとだなぁと改めて思った。かわいいキャラって言われてるし、今回はかわいいキャラではなく…って紹介されるけど、わたしはこのメルヒオールが、めちゃくちゃ志尊くんっぽいなっておもった。あ、そういえばわたし志尊くんのことなにも知らなかったテヘ。でも志尊くん、別にそんなにかわいい役してないし、かわいいより全然かっこいい。身長高いってやっぱりかっこいいな。映える。このシーンのここが好きっていま並べようとしたけど全面的に好きだったわ。(茶番)

 

全然追ってこなかったし楽しか行ってないのに、カーテンコールで目と鼻を真っ赤にさせているしそんを見て好きが弾けたし、心の底から「おつかれさま!!!」と思った。カーテンコール4回。スタンディングオベーション。この景色にいれたこと、ほんとうに幸運だった。目撃できた。帝一のPRに走りながら初座長でこの舞台を走りきり、これからも走り続けるであろう志尊くんに興味が津々。どこにでもいける気がするな。めちゃくちゃ楽しみでたぶんこれからもふつうにめちゃくちゃ好き。とりあえず映画覆面系ノイズに向けて、アップはじめますね。

 

 

志尊くんおつかれさまでした!またね